令和元年の台風第19号では過去最大の約5,000人の市民が避難所へ避難した一方、自宅にペットがいるために避難しなかった人も多くいました。そこで「生命あるものを大切にする」「逃げ遅れを防ぐ」という観点から「ペット同行避難ガイドライン ~災害に備えた飼い主の心得~」を作成したものです。
私は、当時も現役消防団員として河原口・さつき町を中心に避難誘導のための広報などに走り回っていました。消防団としても相模川の河川氾濫は現実には想定されていなかったと言っても良いかと思います。それまではダムの決壊が無ければ氾濫は起きないといった認識があったように思います。しかし、実際にはダムで一定水量以下に制限されていた流量がゲリラ豪雨によって全て河川に流れ出た場合には氾濫する可能性があるということを考えないといけなくなったのだと思います。その時に問題になったのがペットでした。
避難所もそうですが、河原口もさつき町も、もし氾濫した場合、河川の近くにいるというのは非常にまずいわけです。なので、相模川近くの学校などは避難所にはならないとされています。そうなると遠方への移動になります。そんな状況下で当時ペットを置いては逃げられないとなったわけです。避難誘導している側からしても、ペットがいるから逃げられないと言われても、人命優先で何とか避難させたい。そんなジレンマに陥ったのが台風19号の時でした。避難をためらう要因はできうる限り排除しないといけないと、その後の議会の場では私からもペットとの同行避難については消防団の立場でもお願いしたいと要望しました。当時は難しいという見解だったことを考えると、ここまで来たというのはありがたい限りです。
まだガイドラインができたというところなので、ここから実態に合わせていくことになります。コロナ禍でなかなか難しい中だとは思いますが、これからに期待したいと思います。