中国の国防法改正(国立国会図書館より)

中国において2020年12月26日に改正された国防法は、習近平政権下の新方針を反映し、宇宙・サイバー空間等を含む領域で中国の「発展の利益」等を守り、国際秩序を守り、国際ルールを作る姿勢を示しています。その概要について、国立国会図書館が立法情報にて概要を解説してくれています。(原本はこちら

背景と経緯中国の国防法は、国防関係の基本法として1997年に制定され、2009年に一部改正された。その後、習近平政権下の軍改革で、軍の整備強化の新方針が示され、組織再編が行われたことを受け、改革内容を法律に反映させるため、2019年に国防部による改正作業が始まった。全国人民代表大会(以下「全人代」)常務委員会での2回の審議を経て、2020月12月26日に改正国防法が制定・公布され、2021年1月1日に施行された。

原則
立法目的に「中華民族の偉大な復興」の実現(第1条)を、法律が適用される軍事活動に、国の「分裂」の阻止及び「発展の利益」の保護(第2条)を、軍事力増強の方針では、陸海空及び「その他の重大安全領域」の防衛(第3条)を、対外方針では「国際的な軍事交流・協力」の積極的促進(第9条)を追加した。国防の義務を拒否した等の場合に法的責任を問われる主体を、あらゆる「組織及び個人」(第11条)と明記した。また、総合的国家安全観等を貫徹し、中国の国際的地位、国の安全及び発展の利益に応じた。国防と武装力を構築する(第4条)、防御的国防政策、積極的防御を実行し、全国民による国防を貫徹する(第6条)等の条文を追加した。

武装力
新時代における軍の使命・任務は、中国共産党の指導及び社会主義制度の安定、国の主権・統一・領土の防衛、海外における国の利益の保護、世界の平和と発展の促進を戦略的に支えること(第22条)、武装力の整備は中国の特色ある強軍路線により、軍事理論、軍組織、人員及び兵器装備の近代化を全面的に推進し、中国の特色ある現代的な作戦体系を定め、新時代における党の強軍の目標の実現に努力する(第24条)等の条文を追加した。

防衛領域
宇宙、電磁波、ネットワーク空間等を「その他の重大安全領域」とし、国はそれらの領域における活動、資産及びその他の利益の安全を保護する(第30条)と規定した。

科学研究・生産及び軍事調達
国防科学技術工業の方針に、イノベーションによる主導、主体的な制御可能性を追加し(第34条)、国防の知的財産権制度の整備、国防科学技術の成果の転用促進、科学技術リソースの共同利用等の推進(第35条)、国による優秀な人材の国防科学技術研究・生産への招致(第36条)等を新たに明記した。民生技術の活用に関しては、国による軍事調達制度の実施(第37条)、市場メカニズムによる国防科学技術研究・生産と軍事調達の間の公平な競争の推進、武装力に供給する装備・物資等に対する品質責任追及制度の実施(第38条)等を規定した。

国防経費・資産
国防経費の法に基づく予算管理(第39条)を明記したほか、国防資産のうち技術的な成果は、国防を優先し、安全を確保した上で、その他の用途に転用でき、国防目的に使用されなくなった資産は、許可を経て他の用途に転用し、又は処分することを義務付けた(第42条)。

国防動員、国防の義務と権利
国の主権、統一、領土、安全に加え、発展の利益が脅威を受けた際も動員を行い(第47条)、国は、公民又は組織による国防事業への投資を奨励・支援する(第56条)と規定した。軍人には、中国共産党への忠誠を義務付け(第59条)、軍人の勲功栄誉表彰制度(第62条)、待遇保障制度(第63条)、退役軍人保障制度(第64条)の国による設立を規定した。

対外関係
中国は国連を中核とする国際体制、国際法を基礎とする国際秩序を守り、人類運命共同体を推進し(第67条)、安全保障分野での多国間の対話による交渉に参加し、普遍的に受け入れられ、公平で合理的な国際ルールの制定を推進すること(第69条)を規定したほか、中国は国連憲章を基礎とする国際関係の基本ルールを遵守し、海外にいる公民、組織、施設等の安全を保護し、国連による平和維持、反テロ等の活動に参加する(第68条)との条文を追加した。

国立国会図書館 外国の立法 No.286-2(2021.2)

地方議会の議員としては外交については何の権限もありません。地方自治法に明記されている権限としての意見書提出権においても外交・防衛については対象外とされています。ですが、政治に携わるものとして諸外国との関係を全く理解せずにいることはできないと考えます。そして、その中でもとりわけ注目しなければならない国として米国と共に挙げられるのが中国ではないでしょうか。香港での出来事もありますが、元々、英国が植民地支配をしていた過去が一国二制度のねじれを与えたという過去にも目を向けつつ、中国という大国が今後どのように進もうとしているのか、日本とどのような関係を構築しながら進んでいくのか。海老名市との関係を絡めながら色々と考えつつ、これからの政治に取り組んでいきたいと思っています。

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