総務省が消防団員の処遇改善を検討というニュースが出ています。もう何年も前からこの議論はしていて、海老名市レベルでは様々な処遇改善策も打たれてます。みんなで応援しようみたい取り組みも行われてきました。操法大会も隔年に変更。色々と、対応はなされています。しかし、肝心の団員は減る一方。根本的な問題はそこじゃないでしょう。Yahoo!ニュースで記事が上がっているものの、そこのコメント欄では飲み会の話だとか団員報酬が吸い上げられているだとか。地域によっては今でも確かにあるのかもしれませんが、もはや海老名市ではほぼない話です。
むしろ問題は、実際、火災が起きてもほとんど出番がない。最近のガスコンロや電子機器自体が高性能化しているのか火災そのものも減っている。消防本部ですら、訓練は行っていても実際の火災現場に出ることが減っているのではないか。つまり、普通の市民の方々が消防団と接することが極端に減ってしまった。そこが問題なんじゃないかと私は思います。その結果、必要性もあまり認識されないし、場所によっては消防本部の機能が充実しているので消火活動なんかは常備消防が全部やってるんでしょうぐらいに思われてしまう。現実、そんなところもありますし。そして消防団の認知度が下がって団員が自発的に増えなくなってくると、地元の方々で昔を知っている人たちが、地域で地域を守ろうと消防団員を若い人たちにお願いして団員になってもらっていくというのが今になってしまっている気がします。自分から消防団員になるというよりも頼まれてやる。そうなると、全員が全員ではありませんが、意識が必ずしも消防団員向きではない人も混じってくる。結果、今度は地元とトラブルを起こしたりもして、消防団のイメージが悪くなる。昔は、むしろ地域の花形で消防団員だというだけで尊敬されたようです。なので消防団員になりたいと言ってもならせてもらえなかった。一定の人徳などがなければなれませんし務まらないものでした。でも、そうではなくなってしまったことが、消防団のイメージ悪化、団員不足、認知度の低下への負のスパイラルを作り出してしまったのではないかと考えています。
さて、そんな消防団。色々と問題もあったり人も足りないのであれば、役割として無くしてしまえばいいと考える人も少なくありません。公務員の消防職員がいればそれでいいと。でも、考えてください。人口13万5千人ほどの海老名市の消防職員は200人弱です。それに対して消防団員は減らしたと言っても、やっぱり200人弱。普段の火災であれば確かに、必要はないかもしれません。しかし、いざ阪神淡路大震災や東日本大震災のような事態が起こったら。日々の中で少なからず消防訓練を受けた人員がいるということは非常に大きなことです。また、地域の方々とのコミュニケーションが円滑に取れることも実は強みの一つです。地域と消防本部をつなぐ架け橋としても消防団は機能します。日々の防災でもやろうと思えば、市域全体を見なければいけない消防本部よりもできることはぐっと広がります。これまで関わってきた私の中での一つの結論ではありますが、日々の防災意識の向上や消防活動が可能な地域人材の育成、大規模災害時の人員確保という意味で必要であることは間違いありません。他の役割では代替はきかないと感じています。だからこそ、何らかの手立てが必要であることは間違いありませんが、ただそれが待遇改善かと言われると。大所高所に立つと見えなくなるのかもしれませんが、私はずれているように感じてしまいます。