様々、物議を醸しているマイナンバーカード。正直言えば、私もマイナンバーカードについては懐疑的でした。しかし、実際のところ国・県・市、いずれにしても個人個人に対して電子的な番号を充ててデータベース管理をしており、電子的な処理という意味ではマイナンバーの利用は確実に進んできていました。そして、いよいよマイナンバーカードを使った電子的個人認証を推し進めるために健康保険証のマイナンバーカードへの置き換えが始まろうとしています。
ところで、それとは別の次元の話として日本全国でモデル的に医療機関同士のネットを通じた連携が模索されていました。Aさんが、あるXという医療機関にかかったとします。なにかの理由でAさんが、Yという医療機関にかかるようになったとします。そうすると、本人の自己申告がなければXでの診療データなどがない状態で診療をし直すようなことになってしまいます。そういった非効率な状況を改めようと、Xでかかっても、Yに医療情報が提供できるように、電子的につなげばよいという考えがありました。
そのため、国では地域医療連携ネットワークの形で補助金を出しネットワーク形成を促してきていました。その結果、様々な地域で独自発展した地域医療連携ネットワークが立ち上がりつつありました。しかし、課題がありました。それは、医療機関に少なくとも電子カルテが導入されていることが必要でした。でなければネットワークでつなぐことができません。さらに、電子カルテで取り扱っているデータの仕様が違っていました。そのため、単純につなぐことができませんでした。早い段階で、電子カルテメーカに、そういった課題を基にデータの仕様を決めるなどの手を打っていればよかったのかもしれませんが、それができていなかったことから、残念ながら現段階で電子カルテ同士をつないでのネットワークはつなげる見通しすら立たなくなっていました。し
そこで、国はレセプトと言って、各医療機関が診療報酬の申請用に利用しているデータに目を付けました。レセプト自体は紙でのものも残っているものの、電子化もされています。それに、少なくとも、診療報酬の算定のために電子化もされていました。そこで、レセプトデータに絞って医療機関データのやり取りをしようと考えた訳です。今後、その方向に国としては歩み始めていて、それに合わせて自治体のサーバの改修なども進めるように言ってきています。併せて、薬剤については電子お薬手帳のシステムに限定してレセプトとは別に医療連携システムを作る方針を打ち出しています。
さらに、小中学校の健診データも管理できるようにしようと計画しています。これは海老名市も先行的にとりかかっている部分でもありますが、実は、小中学校の健診データは紙での保管となっており、経時変化をみるような活用はされてきませんでした。電子化がされていない以上、先生方のマンパワー上も仕方がなかったと思います。しかし、一昨年、ようやく電子化がなされることになりました。これにより、生まれてから中学校を卒業するまでの健康情報が一元化できることになるわけです。そして、国はそれを生まれてから死ぬまでの全ての期間のデータをつなげようと考えています。情報の活用はともかく、データの接続を生まれてから死ぬまで、つまり“ゆりかごから墓場まで”ようやくできるようになるわけです。
さて、様々な変化が起きそうなこの取組です。マインバン―カードは是非はともかく、利点も考えられる取り組みであり、健康データが得られるようになれば、将来は自分の健康状況を知ることにもつながります。そして、より健康に生活が送れるようになるかもしれません。施策としては、これからと言えると思いますが、健康情報についてはこれからしっかりと考えていく必要があると思っています。
また、こういったことがあると当然出てくるのがセキュリティの問題、個人情報の問題でしょう。こちらもしっかりと考えていきたいと思います。
現在、国で検討が進められている場所は、「健康・医療・介護情報利活用検討会」になります。すでに第6回まで進められていて、昨年末の段階で結論を出しています。少なくとも、この方向で厚生労働省内部はまとめに入っているとの話も聞いていますので、議会を通じて海老名市のあるべき方向を医師会とも相談しながら考えていきたいと思っています。